大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(う)2554号 判決

被告人 上田満

〔抄 録〕

職権をもつて原判決の法令適用の当否を検討するのに、原判決は、被告人が大学の入学式を阻止するためその式場を破壊しようと企て、ほか数名と共謀のうえ、国立山梨大学体育館に故なく侵入したうえ、右体育館内に設置されていた入学式挙行用の紅白幕、国旗、同大学校旗などを焼燬し、よつて公共の危険を生ぜしめたとの原判示事実に対し、右建造物侵入行為と建造物以外の物件放火行為とは、通常手段結果の関係にあるとは考えられないから、牽連犯ではないと解し、両者を併合罪として処断しているのである。

しかしながら、建造物侵入罪は、侵入した建造物の中で他の犯罪を犯す手段として犯されることがきわめて多いもので、同罪の構成要件はかかることを性質上予想しているものというべく、本件の物件放火のごときも当然それに含まれていると考えられるから、建造物侵入行為と侵入した建造物内における物件放火行為とは、いわゆる通常手段結果の関係にあるものと解するのが相当であり、従つてこの両罪は牽連犯とすべきものである(昭和七年五月二五日大審院判決、刑集一一巻六八〇頁等参照)。しかるに原判決はこれを併合罪として処断したものであるから、この点に法令の適用の誤があつて、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるので、原判決は破棄を免れない。

(中野 藤野 粕谷)

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